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【参考資料】  書道の段位の一覧・履歴書にかける段位

                                                                                                                          【参考】:2018年03月17日

 

 書道の段位がどのように決まったり、どのような流れで昇級・段をしていくのかを知っている方は少ないでしょう。

書道と習字は違います。習字とは文字の書き方を学ぶためのものになり、書道とは「筆と書道用紙」を使って自己表現をする芸術のことになります。そのため書道は、綺麗な文字を書くだけではなく、書く文字に自身の感情を込め文字を崩したり、文字にデザイン性をもたすなどのいろいろな技法を使って表現しています。

 そんな書道から学べることは、筆順や筆の持ち方などの基本的なことはもちろんのこと、自分の個性を出すための作品の書きかたなどの技法も身につけることができます。まさに、書道とは「書の道」と呼ぶべき芸術になります。

 そんな日常生活で、書道は役に立つのでしょうか。実は書道が役立つことはあまりありません。そもそも書道は芸術性を追求しながら、鍛錬を重ねる芸術になりるので、役立たなくても問題はありません。ですが、書いた作品が見る人の心を動かすことができたら、書道が役立っていると言える可能性が高くなります。

 

日本の書道協会

 日本全国の「書道協会」の数は、数多くありいろいろな流派が存在します。そんな書道協会には、大きくわけると「芸術系」と「教育系」の2種類の協会に分けることができます。

 またその他にも「書道の研究会」も存在しています。そんな、芸術系と教育系の2種類の協会と書道研究会を詳しくご紹介しましょう。

 

芸術系の書道協会

 まずは、芸術系の書道協会が16協会あります。そんな美術系書道協会で有名なのは、「日本美術展覧会(日展)」になり、この日展は全国的な公募展をおこなっています。

その他に、地方・都道府県単位でつくられている書作家協会や、書家が主宰している会(社中)があります。そんな協会名を紹介します。

 ・公益社団法人 日展
 ・公益社団法人 日本書芸院
 ・公益社団法人 全日本書道連盟
 ・公益社団法人 創玄書道会
 ・公益社団法人 大日本書芸院
 ・公益社団法人 中部日本書道会
 ・公益社団法人 日本総合書芸院
 ・公益社団法人 日本書作家協会
 ・一般財団法人 毎日書道会
 ・公益財団法人 全国書美術振興会
 ・公益財団法人 独立書人団
 ・読売書法会
 ・興朋会
 ・謙慎書道会
 ・産経国際書会
 ・東北書道会

 

教育系の書道協会

 次に紹介するのは、教育系の書道協会になります。教育系の書道協会団体は、協会独自の検定試験などをおこなって、「段位や級」などを設定し書道の普及活動に努めている団体が多く存在しています。

 有名なところでは、公益財団法人 日本習字学会(日本習字)になります。そんな、教育系の書道協会名を詳しく紹介します。

 ・全日本書芸文化院(全書芸)
 ・公益財団法人 日本書道教育学会
 ・公益財団法人 日本習字教育財団
 ・一般財団法人 日本書写技能検定協会
 ・公益財団法人 書道芸術院
 ・公益財団法人 日本習字学会
 ・公益財団法人 書壇院
 ・公益財団法人 書海社
 ・東京書道院
 ・日本書道学院
 ・日本教育書道連盟
 ・清風会
 ・東京書道教育会
 ・書道研究書芸会
 ・学書院
 ・日本書鏡院
 ・公文書写

 

書道研究会(学会)

 また、現在の日本では、「書道・文字」にかかわることなどを学会や研究会をとおして学び学術的会合を開いている団体が何カ所かあります。

 ・書学書道史学会
 ・全国大学書道学会
 ・全国大学書写書道教育学会
 ・全日本書写書道教育研究会

 

日本書道協会(にほんしょどうきょうきょうかい)

 ㈱ユーキャンの傘下団体で、1973年4月に設立された団体。設立当初は通信教育の開講、運営のみを行っていたが、1,975年8月、通信教育の受講有無にかかわらず入会が可能な正会員制度を設け、通信教育のほか、書道団体として本格的な運営を始め、展覧会や講習会等の開催、技能認定、雅号授与などを行っています。

 

段位とは?

 そんな書道の段位の位置づけを詳しく説明します。

 

書道の段位の位置づけとは

 日本国内の書道の級・段位にレベルの基準はありません。その理由は「書を書く人の技量」を各自の流派が、各自で設けているからです。そのため、日本国内での書道の段位やそのレベルは統一されておらず、バラバラになために国家的にも認められていないためです

 そのため、同じ階級であっても流派によってレベルが違うため、同じ技量だとは言えません。

 以上のことを考えると、段位と書道の腕前とは関係がないといえます。ですが、段位が無意味なものだとは言えません。特に「師範」を目指しているのなら、師範の昇段受験の条件に段位取得などがあるので、常日頃の鍛錬と段位取得が必要になります。

 

書道の段位一覧

書道の段位の中には、初段~5段などの数字を使った段位がたくさんあります。その中で「特待生」や「師範」といった数字以外の段もあります。この2つの段位がどんな段位なのか詳しくご紹介しましょう。

 

特待生とは?

 書道の中での、「特待生」という段位の位置づけは、書道をしている人の年齢に応じた「部」での最高段位をとり、これ以上与える段位がない状態のときに「特待生」と呼び名が与えられています。

 この「特待生」になると、資格の欄に記入することで、受験や就職などのときにアピール要因にできそうですが、あまりアピールになるとは言えません。その理由としては、まず書道の段位は公的な資格ではないため、資格欄に記載はできません。

 また日本には全国に無数の書道関係団体があり、その段位は統一されていません。ということは、その団体ごとで書道の技量にバラつきがあります。そのため、書道の段位は入会している書道協会内部での「認定制度」になります。

 そのような理由から、受験や就職などで資格欄に記載してのアピールにはあまり使えません。それよりも、書道をとおしての経験などをアピールする方が好印象を持たれる可能性があります。

 

師範とは?

 書道は、どんな流派に属していても、その大体の最高段位は「師範」になります。大体の流派では、この最高段位である師範を取得することで、「師範免許」が発行され教室を開き他の人に書道を教えることができます。

 ですが、書道教室を開くためには、この師範免許は絶対に必要な必須の資格ではありません。書道の腕に自信があれば、「経験・年齢」を問うことなく教室を開くことは可能です。ただし、「師範免許」を取得することが、習うにあたり信用に繋がります。そのため、師範免許を持っていないと生徒が集まらない可能性があります。

 そのため、師範免許はその先生の流派での「実力」を客観的に判断する材料になると言えます。将来、書道教室をもちたいと考えているなら、「師範免許」は持っていて当たり前の資格と言えます。

 

書道の段位の基準はある?

 書道の段位の基準は、とても曖昧です。そんな書道の段位は、流派によって違い「段位」が存在しない団体もあります。

 またある流派では、初心者が2年で「師範資格」の取得ができたり、2年間「師範取得講座」を受講することで、級段位の取得を免除している団体もあります。そうなると、この流派では師範を取得するのに「段位」が必要ないということになります。

 では、書道の最高段位だと言われている「師範」はどの流派も基準は同じなのでしょうか。実はその「師範」も一概には言えず、一定の段位以上になったら「師範認定試験」を受験できる資格が得られる流派があるなど、基準は曖昧なものが多くあり「師範」は、段位などとは別に認定されている場合もあります。

 また逆に、一定の段に達した後に「師範の認定試験」に合格しないと、それ以上の段位に昇段できないため、その流派では師範を取らないと最上位を習得できない流れになっています。

 

履歴書に書ける書道の段位

 幼い頃から書道に触れ、段位を習得している方も多くいますが、この「級・段位」を履歴書などの書類にある「免許・資格欄」に記載することはできるのでしょうか。答えは「できません」

 では、なぜ書道の段位などを書くことができないのでしょうか。まず書道の段位は、書道流派などの内部的な資格になり、数多くある書道の協会のレベルが統一されていないことが理由になり、同じ資格でも力量に差があるのが事実だからです。そのため、履歴書に書道のことを書くのなら「特技欄」に書くことをおすすめします。

 そんな、履歴書などの免許・資格欄に書けない書道関係の資格の中にも、文部科学省認定の「硬筆・毛筆書写検定」だけは、公的な資格になるため免許・資格欄に記載することができます。そのときは、「平成○年度 第○回文部科学省後援硬筆・毛筆書写技能検定 ○級合格(取得)」と記載しましょう。 

 

年代別での書道の段位

 年代で書道で取れる段位に違いがあるのでしょうか。また書道は流派により、級段位などが違ってきます。今回は、日本国内でも大きい協会である「日本教育書道連盟」を例に挙げて紹介していきます。

 ・成人部は10級から始められ、流れとしては、「10級~1級→初段~十段→準師範→師範格→師範」になります。一般部の試験方法を紹介します。

 ・受験資格:一般社会人・高校などの在学者になります。新規受験のときのみ、五段を上限に飛び級受験ができます。継続受験の場合は、受験段級の前の級(段)の合格が必要です。

 ・受験方法:団体受験と個人受験の2種類があり、団体受験は連盟の承認を受けた教室などで受験する方法で、申請~合格証書交付までを教室を経由して手続きします。個人受験は、場合自宅にて全課題を清書し、郵送か直接持参で提出します。全てを個人で手続きします。

 ・試験時間:団体受験のみ、試験時間が定められることもあります。

 ・試験科目:漢字科・仮名科の2種類があり、受験段級位により「課題臨書・条幅創作作品・般若心経写経」の3つの技能試験で構成されています。

段位をとるための受験費用

 そんな日本習字の一般の受験費用を紹介します。また書道の昇段級の試験日において、高校在学中であれば、割引した受験料で受験できます。

段級位 一般(大学生含む) 高校生
5~3級 1,330円 820円
2~1級 1,530円 1,020円
初段~弐段 5,100円 2,550円
参段~四段 6,120円 3,060円
五段 7,140円 3,570円
六段 8,160円 4,080円
七段 9,180円 4,590円
仮八段 10,200円 5,100円
八段 6,120円 3,060円

 

書道の段位での最高位は?

 書道での、段位の最高位はどれにあたるのでしょうか。小・中学部などの部門などでは「特待生」でしょうか。大人の部門なら「師範」でしょうか。その答えは、どちらでもありません。なぜなら、書道の協会にはたくさんの種類があり、級・段位はその中で勝手に決めている検定になるからです。

 そのため、力量が統一されておれず協会によって、書道の腕前の力量に差があります。また、検定のランクの付け方にもバラツキがあり、段の間に「師範」を入れる協会もあれば、最高が師範の場合もあるなど、呼び名も統一されていないので、正しく評価をすることはできません。

 そんな情報を総合的に見ても、書道の段位の最高位を決めることはできません。ですが、自分が入会している流派の最高位は決まっているとおもうので、その最高位を目指して書道の腕前を研磨することが大切になります。

 

書道は自分を成長させる

 書道の段位にはたくさんの段階があり、義務教育の時代と大人でも段位の呼び名も内容も違ってきます。また、書道の協会は日本中にたくさんあるため、段位の基準が曖昧で統一されていません。そのため、履歴書の資格の欄に記載ができなかったりします。それだけでなく、書道教室が開ける「師範」の段位であっても、その基準に決まりはありません。

 そうなると、書道での段位取得は無意味なのでしょうか。もちろん、無意味ではありません。もちろん、他人と比べることができなくても、自分の入っている流派の最高位を目指して書道の腕前を研磨することで、美しい字を書けるようになるだけではなく、自分を成長させてくれる時間になります。

 


 

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